■藤原の問題(その3)

藤原松三郎は,(純粋数学ではないが)実用数学では日本における歯車の父と呼ばれるようになった成瀬政男(東北大学工学部)に数学的な助言を与え,学問的には低い地位にあった歯車の工学機構を解明して科学の地位まで高めたといわれている.卵形線論の優れた研究者であった藤原は成瀬にとってこのうえないよき助言者であったに違いない.

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歯車の歯形曲線

歯車は1点の周りの回転を他の点での回転に変換する機構である

昔の歯車の歯は滑り止めのための凹凸に過ぎなかったが、最近の機械では大きな力を高速で伝達することが要求される

歯車の歯型曲線として重要なものを用途別に分類すると、円の伸開線(インボリュート歯車)と円の輪転曲線(サイクロイド歯車)の2種類になる

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インボリュート歯車

曲線Lのまわりに巻かれた糸があり、この糸をぴんと張ったままほどくと糸の自由端によって曲線Mが描かれるとします。MをLの伸開線(インボリュート)、LをMの縮閉線(エボリュート)と呼びます。

サイクロイドや対数らせんのインボリュートはもとの曲線と合同な曲線になることが示されます。

円の伸開線、すなわち円に巻きつけた糸の一端の軌跡は、大きな力を高速で伝達する歯車の歯形として工学に応用されています。

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サイクロイド歯車

回転円が固定円に接して滑ることなく転がっていくとき,回転円の周上の点の軌跡を考えます.回転円が固定円に外接するとき,その軌跡をエピサイクロイド,内接するとき,ハイポサイクロイドと呼びます.

アステロイド: x^2/3 +y^2/3 =a^2/3 は固定円の半径が回転円の半径の4倍になっているハイポサイクロイドです

固定円と回転円の半径が等しいエピサイクロイドは心臓型曲線(カージオイド)を描きます。

エピサイクロイド(カージオイド、ネフロイドなど)、ハイポサイクロド(デルトイド、アステロイドなど)は、サイクロイドとは異なり代数曲線です。

エピサイクロイド・ハイポサイクロイド

エピトロコイド・ハイポトロコイド

はすべり率が一定で、摩耗の最小化を可能にしている。

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