■空間の因数分解(その5)

チェビシェフ多項式と円分多項式の同値性

ところで、正多面体{3,3}の指数列はm=(1,2,3)であるが、指数列に1を加えm+1=(2,3,4)を作る。一方、準正多面体{3,3}(1,1,1)の経路母関数は円分多項式を用いてΦ2(x)Φ3(x)Φ4(x)で表される。同様に、

正多面体{3,4}の指数列m+1=(2,4,6)⇔準正多面体{3,4}(1,1,1)の経路母関数はΦ2(x)Φ4(x)Φ6(x)

正多面体{3,5}の指数列m+1=(2,6,10)⇔準正多面体{3,5}(1,1,1)の経路母関数はΦ2(x)Φ6(x)Φ10(x)

と対応する形で表されることに既にお気づきの読者もおられるであろう。4次元の{3,3,5}(1.1,1,1)の経路母関数も指数列m+1=(2,12,20,30)からΦ2(x)Φ12(x)Φ20(x)Φ30(x)で与えられるのである。

固有方程式から得られる指数列が経路母関数と等価であるという事実は重要である。4次元の{3,3,5}(1.1,1,1)の経路母関数も指数列m+1=(2,12,20,30)からΦ2(x)Φ12(x)Φ20(x)Φ30(x)で与えられるのである。

固有方程式の固有値はすべて[-1,1]の実根λ=cosθである。一方、それに対応する経路多項式は円分多項式に帰着されるが、その解はすべて複素単位円上の複素数根λ=exp(iθ)の形になっている。チェビシェフ多項式と円分多項式は実数・虚数の兄弟分の関係あるいは表裏一体の関係になっていて、経路母関数は固有方程式の複素数版であるというわけである。一般に、正多胞体の固有方程式はチェビシェフ多項式あるいはその1次結合を=0とおいた式になるが、これらの計算結果を整理した表を掲げておく。

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