■ロータリーエンジンはこれから何処へ向かうのか?(その2)

フーリエ級数論の萌芽

古代ギリシャの人々はすべての天体の運動は円とその組み合わせによって支配されると考え,固定円の軌道上を小さく円を描きながら動く回転円(周転円・エピサイクル)を使って地球の周りを運行する惑星の軌道を説明した.たとえば,原点を中心とする半径aの円の円周上を等速αで公転する点があり,その点の周りを半径b・等速βで自転するエピサイクル上の点の軌跡は

x=acos(αt)+bcos(βt)

y=asin(αt)+bsin(βt)

で表される.その後,回転運動の合成がよくあてはまらない惑星に対する補正として第3の円・第4の円,・・・を用いたため,初期のモデルは徐々に複雑なものとなってしまい,そのエレガントさは失われていった.

x=acos(αt)+bcos(βt)+ccos(γt)+dcos(δt)

y=asin(αt)+bsin(βt)+csin(γt)+dsin(δt)

惑星運行の連続かつ閉軌道はすべて周転円を使って記述することができると考えたところに本質的な無理があったのである.このことは今日から見れば真理ではないにしろ,19世紀初頭にフーリエが波や振動を正弦曲線に分解できると考えるに至った萌芽とすべき出来事である.

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