■ブレットシュナイダーの公式(その27)

【1】頭の体操

 まず,頭の体操からはじめましょう.「正三角形内の任意の点Pから,各辺までの距離をr1,r2,r3とすれば,その和は,点Pの位置にかかわらず,常に一定である.」という問題を解いてみることにします.

 正三角形の1辺の長さが1のとき,

  r1+r2+r3=√3/2

すなわち,この和が正三角形の高さと等しくなることは簡単に求められます.

 次に「正三角形内の任意の点Pから,各頂点までの距離をR1,R2,R3とすれば,その和が最小になるのは点Pが重心に一致するときである.」について考えてみることにしましょう.

 求める点Pをフェルマー点といいます.点Pは三角形ABCの内部にありますが,∠A,∠B,∠C<120°のときには,3頂点に至る距離の和が最小となる点は3辺を等角120°に見込む点です.∠A,∠B,∠Cのいずれかが≧120°のときには,それぞれ頂点A,頂点B,頂点Cになります.したがって,正三角形の1辺の長さが1のとき,

  R1+R2+R3≧√3

より,最小値√3が得られます.

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