■最短距離に関する問題(その4)

【2】ヘロンの問題

(Q)直線Lの同じ側にある2点F1,F2からの距離の和F1P+PF2が最小になるようなL上の点Pを求めよ.

という問題を考えてみます.

 この問題は「ヘロンの問題」と呼ばれていて「町F1から町F2に行くとき,川岸Lの点Pに立ち寄るものとする.このとき道のりの長さが最小となるような点Pを求めよ.」という実用価値のある寄り道問題ですし,反射光学の問題あるいはビリヤード問題とも考えることができます.

(A)答は簡単に求めることができる.点F2を直線Lに関して対称移動させF0とする.直線F1F0と直線Lの交点が最短距離となる折り返し点Pである.

 この最適な点Pには線分F1PとF2PがそれぞれLとなす角が等しいという性質があります.また,このことは三角形のフェルマー点Fが3つの頂点への距離の和を最小にすること,∠AFB=∠BFC=∠CFAが成り立つこととよく類似しています.

 ヘロンの問題のバリエーションとして「町F1から川の反対側にある町F2に行くとき,川岸Lの点Pに立ち寄り,一定幅dの川を渡るものとする.このとき道のりの長さが最小となるような点Pを求めよ.」などもよく見かける問題です.どこに橋を架けたらいいかという問題ですが,川幅は一定ですから点F1を川幅の分だけ平行移動した点をF0として,F0とF2を結ぶ直線が川のF2側の岸と交わる点に橋を架ければ最短経路であることがわかります.

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