■アポロニウスの最大最小問題(その5)

【3】エピサイクロイド・ハイポサイクロイドの特異点

 

 エピサイクロイド(カージオイド,ネフロイドなど),ハイポサイクロド(デルトイド,アステロイドなど)には,直線族の包絡線であるという共通の性質が知られています.

 たとえば,アステロイドは長さ4rの棒の両端をx軸,y軸にのせながら動かしたときの包絡線となっています.「アステロイド:x^(2/3)+y^(2/3)=a^(2/3)において曲線状の任意の点における接線がx軸,y軸と交わる点をそれぞれA,BとすればAB=aであることを証明せよ.」は高校の教科書にも取り上げられていて,ご存知の方も多いでしょう.

 

 すなわち,一定の長さaの線分の両端が直交軸上を動くとき,その線分の包絡線の方程式がアステロイド:

  x^(2/3)+y^(2/3)=a^(2/3)

なのです.一方,その逆問題「曲線上の任意の点における接線のx軸,y軸とで切り取られる部分の長さが一定であるような曲線を求めよ(クレローの微分方程式)」を取り上げたものは少ないようです.この微分方程式も簡単に解けて,アステロイドという解曲線が得られます.

 

 デルトイドは3つの尖点をもつ図形ですが,「デルトイドの接線が曲線に挟まれる部分の長さは一定である.」という性質があります.これは,デルトイドでは長さ4rの棒をデルトイドに接しながら1回転することができるというのと同一です.→(掛谷の問題)

 

 また,ネフロイドは平行光線が円の内側で反射されるときの包絡線,カージオイドは光が周上の1点から発して円周で反射されたときにできる包絡線であることがわかっています.光線の半円による反射光線の包絡線が,これらのエピサイクロイドなのです.

 

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