■アポロニウスの最大最小問題(その4)

【3】エピサイクロイド・ハイポサイクロイドの特異点

 

 回転円(半径r)が固定円(半径R)に接して滑ることなく転がっていくとき,回転円の周上の点の軌跡を考えます.回転円が固定円に外接するとき,その軌跡をエピサイクロイド,内接するとき,ハイポサイクロイドと呼びます.たとえば,固定円と回転円の半径が等しい場合,エピサイクロイドは心臓型曲線(カーディオイド)を描きます.また,星形曲線アステロイドは固定円の半径が回転円の半径の4倍になっているハイポサイクロイドです.

 

 エピサイクロイド(カージオイド,ネフロイドなど),ハイポサイクロド(デルトイド,アステロイドなど)は,サイクロイドとは異なり代数曲線です.r=1として,直交座標系におけるこの曲線の方程式を求めてみましょう.

 

 エピサイクロイドでは,

カージオイド(尖点数1):

  f(x,y)=(x^2+y^2)^2−6(x^2+y^2)+8x−3=0

ネフロイド(尖点数2):

  f(x,y)=(x^2+y^2)^3−12(x^2+y^2)^2+48x^2−60y^2−64=0

 

 ハイポサイクロイドは,n=2のとき,

  f(x,y)=y   −2≦x≦2

すなわち,固定円の直径と一致します.直径は2つの尖点をもっていて,その両端は退化した2つの尖点とみなすことができます.

 

デルトイド(尖点数3):

   f(x,y)=(x^2+y^2)^2+18(x^2+y^2)−8x(x^2−3y^2)−27=0

アステロイド(尖点数4):

  f(x,y)=(x^2+y^2)^3−48(x^2+y^2)^2+432x^2y^2+768(x^2+y^2)−4096=0

 

 いずれも簡単な形にはなりませんが,4つの尖点(特異点)をもつ曲線:アステロイドでは

  x=3rcosθ+rcos3θ

  y=3rsinθ−rsin3θ

 また,3倍角の公式

  cos3θ=4cos^3θ−3cosθ

  sin3θ=3sinθ−4sin^3θ

を用いると

  x=4rcos^3θ

  y=4rsin^3θ

より

  x^(2/3)+y^(2/3)=(4r)^(2/3)=a^(2/3)

を得ることができます.r=1では,

  x^(2/3)+y^(2/3)=4^(2/3)

と表すことができるますが,このほうが一般的でしょう.

 

 ここで,

  cosθ=(1−t^2)/(1+t^2)

  sinθ=2t/(1+t^2)

と表せば,エピサイクロイド,ハイポサイクロドは,サイクロイド:

  x=r(θ−sinθ)

  y=r(1−cosθ)

とは異なり,代数曲線であることがわかます.

 

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