■2次方程式(その6)

【6】3次方程式の共役な解

 3次方程式では,共役な3解を

  p+q+r,p+qω+rω^2,p+qω^2+rω

とおく.p,q,rは実数とは限らない.

 どうしてそんな数を思いついたかについては種本に譲ることにして,

  (x−p−q−r)(x−p−qω−rω^2)(x−p−qω^2−rω)

=(X−q−r)(X−qω−rω^2)(X−qω^2−rω),X=x−p

=X^3−3qrX−q^3−r^3,Xの2次の項が消えている

=(x−p)^3−3qr(x−p)−q^3−r^3=0

 たとえば,

  x^3−3x^2+9x+5=0

  (x−p)^3+a(x−p)+b=0

の形に変形したいならば

  (x−p)^3+a(x−p)+b=0

=x^3−3px^2+(3p^2+a)x−p^3−ap+b

 係数を比較すると,p=1,a=6,b=2,すなわち,

  (x−1)^3+6(x−1)+2=0

と変形できる.

 このとき,

  (x−p)^3−3qr(x−p)−q^3−r^3

=(x−1)^3−3qr(x−1)−q^3−r^3=0

との間で係数を比較すると,

  qr=−2,q^3+r^3=−2

 r=−2/qを第2式に代入すると

  (q^3)^2+2q^3−8=0 → q^3=2,−4

このことから,q,rとしては

  (p,q)=(2^1/3,(−4)^1/3),(2^1/3ω,(−4)^1/3ω^2),(2^1/3ω^2,(−4)^1/3ω),((−4)^1/3,2^1/3),((−4)^1/3ω,2^1/3ω^2),((−4)^1/3ω^2,2^1/3ω)

 しかし,これから得られる3解

  p+q+r,p+qω+rω^2,p+qω^2+rω

は本質的には1通りである.

  1+2^1/3+(−4)^1/3,1+2^1/3ω+(−4)^1/3ω^2,1+2^1/3ω^2+(−4)^1/3ω

 一般に,

  (x−p)^3+a(x−p)+b=0

ならば,

  qr=−a/3,q^3+r^3=−b

 r=−a/3qを第2式に代入すると

  (q^3)^2+bq^3−a^3/27=0

となるわけである.

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