■カオス(その6)

【4】ロジスティックモデル(2)

さらに,ロジスティック写像

  xn+1=f(xn)=kxn(1−xn)

を考える.0≦xn≦1,0≦k≦4

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[1]固定点

  x=kx(1−x)を満たすから,x=1−1/k

原点x=0はすべてのkに対して固定点

x=1−1/kはk≧1に対してのみ,xの許容範囲内にある

[2]安定性

  f’(x)=k−2kx

f’(0)=kなので,原点はk<1のとき安定,k>1のとき不安定

x=1−1/kは

  f’(1−1/k)=k−2k(1−1/k)=−k+2

より,k<3のとき安定となる.

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 放物線はk<1ではy=xより下にあり,原点が唯一の固定点である.kが増加すると放物線の背が高くなり,k=1のとき,y=xに接する.k>1になると,放物線は2つ目の固定点で交差し,一方,原点は安定性を失う.

 さらにkが増加すると固定点x=1−1/kにおける傾きはますます急となり,k=3のとき,

  f’(1−1/k)=k−2k(1−1/k)=−k+2

は臨界点f’(1−1/k)=−1に達して,安定性を失う.

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k=3では周期倍分岐を伴う.

  x1=f(x0)=kx0(1−x0)

  x2=f(x1)=kx1(1−x1)=k^2x0(1−x0)(1−kx0(1−x0))

は4次多項式であるが,

  x=0,1−1/k

が固定点であることがわかっているので,2次方程式に簡略化される.

 残りの2根は

  {(k+1)±{(k+3)(k+1)}^1/2}/2k

したがって,k>3ならば実根となり,2周期軌道が存在することがわかる.

 k=3において,2根は一致(x=1−1/k=2/3)する.逆に,k<3ならば2周期軌道は存在しないことを意味する.

 この2周期軌道は3<k<3.44(=1+√6)ならば2つの極限値の間を振動する(周期2のサイクル).すなわち,安定であることが以下のようにして示される.

  {(k+1)±{(k+3)(k+1)}^1/2}/2k

の2根をp,qとおく.

  f^2(x)=f(f(x))=k^2x(1−x)(1−kx(1−x))

をxで微分すると

  λ=f’(f(x))f(x)

 pの分岐とqの分岐が同時に起こるとすると

  f’(f(p))f(p)=f’(f(q))f(q)

 λ=k(1−2p)k(1−2q)

=k^2(1−2(p+q)+4pq)

=4+2k−k^2

 よって,2周期軌道は

|4+2k−k^2|<1→3<k<1+√6において安定である.

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[1]k=2.5のとき,0.6に落ちつく.

  f(0.6)=2.5×0.6(1−0.6)=0.6

  2.5x(1−x)=x→x=0.6

[2]k=2.8のとき,0.642857に落ちつく

  2.8x(1−x)=x→x=0.642857

[3]k=3.2のとき,

  s=0.799455とt=0.5130455の2つの値の間を振動する,すなわち,

  f(s)=t,f(t)=s

[4]k=3.52のとき,4つの値の間を振動する,

[5]k=3.9のとき,きれいなパターンに落ちつくことはない

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