■カオス(その1)

カオスが身の回りの世界を理解するのに不可欠な現象であると認識されるようになったのは,ローレンツによる初期のコンピュータを使った気象のシミュレーションがきっかけであった.ローレンツのこの発見が一般の人々もそのアイデアを思い描けるほど知られるようになって,不朽の名声を得たのは「ブラジルで1羽の蝶が羽ばたけばテキサスで竜巻が起こるか?」というセンセーショナルなタイトルの講演のおかげである.

従来,非線形信号はノイズあるいは再現性の悪いものとして見落とされ見逃されてきたのですが,見方を変えるとそこにある種の秩序があり,カオスやフラクタルの形でいろいろな情報を含んでいることが知られるようになってきました.これまで原因不明のノイズとして見捨てられていたものも,それをカオスと考えることによって隠れた法則性を発見する手がかりとなるのです.

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