■ハサミムシの翅(その2)

昆虫の翅の折り畳みは一般にコンパクトなものですが、最もコンパクトなのがハサミムシの翅だそうで、その折り畳みの仕組みを解明したという記事です。

九州大学の研究者・斎藤一哉先生によるですが、質問形式の記事は長いので、一部を端折った記事(FNNプライムオンライン編集部)と原著論文

Earwing fan designing: Biomimetic and evolutionar biology applications

PNAS, 30, 17622-17626, 2020

を紹介しておきます。時間のある時に、息抜きに閲覧頂ければと思います。

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【3】どういったことに応用できる?  衛星の太陽電池パネルなどの折り畳みに応用可能

身近な例では、傘や扇子のデザインに使うことができると考えています。

これまで人間が考えた折り畳み方法の中でも、現在の傘や扇子のデザインは非常に優れており、発明されてからほとんど基本的な構造は変わっていませんが、今回発見した折り畳みの原理を使えばさらに半分の大きさに折り畳むことが可能になります。

また、ソーラーセイルや太陽光発電衛星に代表されるように、宇宙構造はますます大型化しており、打ち上げ時にコンパクトに折り畳む技術は非常に重要です。

ハサミムシの折り畳みは、広げた状態の15分の1以下と非常コンパクトに折り畳むことができるため、太陽電池パネルやアンテナ鏡面などの折り畳みへの利用が期待されます。

近年では、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の対策のため、ミッション終了後に大面積の膜を展開し、減速させて早く地上に落とす技術が研究されており、この“デオービット機構”にも利用できるのではないかと考えています。

「一瞬で展開・収納ができるうえ、広げたときは非常に強い」という昆虫の翅の特徴を活かして、魅力的な製品をデザインしたいと考えています

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【4】昆虫の進化に折り紙の幾何学が応用されたことに驚きの声 解明した今、その構造を持つハサミムシを改めてどう思う?

「折り畳む」という課題に対する一つの進化の到達点なのではないかと思います。広げた翅の美しさにも感動しました。

提案した幾何学モデルと実際のハサミムシの翅の折線がぴたりと一致したときは、自分でも驚き、自然は折り紙を知っているんだな、と感動しました。

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