■リンク機構(その3)

【5】ポースリエの反転器

円運動を直線運動に変換することは水車や蒸気を動力とする産業革命の中心的な技術であるが,ワットの近似直線機構から80年たった1864年,フランスの陸軍大将ポースリエによって,精確に直線に沿って動くリンケージが考案された.蝶番付き平行四辺形を使って実現されます.ポースリエの反転器は円運動を直線運動に,直線運動を円運動に変換する機構で,リンク装置の用途は多方面にわたっています. 

ワットのリンケージは近似的な解にすぎなかったが,ポースリエの反転器は真正直線機構という機構学的問題のひとつの解答となった.彼はこの功績によりフランス学士院賞を受賞した.

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【6】ハートの反転器

反転器とは円運動・直線運動変換器のことですが,リンク数が多くなると機械として実質的に動かなくなるので,リンク数の少ない単純な仕組みが望まれる.ポースリエの反転器が7リンクであるのに対して,1875年,ハートは5リンクから構成される直線運動メカニズムを構成した.4本にまでリンク数を少なくすることはできない.

いまはCADに代わっているが,かつての製図台(ドラフタ)には平行な直線を何本も引くことができる便利な機能があって,この機構が応用されていた

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