■リンク機構(その2)

【3】レムニスケート作図器

ベルヌーイのレムニスケートは2定点からの距離の積が一定の点の軌跡です.2定点の中点(0,0)と単位点 (1,0)を通るとき,

直交座標系: 4次曲線(x2+y2)2=x2-y2

極座標表示すると,r2=cos2θ

で表されます.

レムニスケートは長さ1の棒を2本と長さ√2の棒を1本を使って,長さ1の棒の端点を2つの固定点に固定,反対側の端点を長さ√2の棒の端点に交叉平行四辺形型に繋ぐと,長さ√2の中央のロッドの中点の軌跡がレムニスケート(8字曲線)を描きます.

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【4】蒸気機関への応用

レムニスケートは楕円積分など数学の発展に貢献した曲線であるが,何に工学応用されているのか,私は知らないのですが,1784年,ジェームズ・ワットはレムニスケートを改良して蒸気機関のピストンロッドをほぼ直線状に動かす単純なリンケージを発明しました.

ワットのリンク機構は8の字型の軌跡を描くがレムニスケートとは似て非なる性質をもち,ほぼ直線の部分は,蒸気エンジンのピストンロッドを効率よく動かすことができます.

産業革命を引き起こした大発明であって,ワットはルーローへの書簡の中で自分がこれまでの発明したメカニズムの中で最も誇りとしていると書いています.

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