■力の統一・物質の統一

【1】力の統一

 1687年、ニュートンは落下するリンゴと地球の周りの月運動を統一した。

ニュートンから180年後、マクスウェルは一見似ているようにには思えない静電気と磁気が電磁気と呼ばれるものの異なる様相であることを示した。

ところで、核物理学は中性子Nと陽子Pが結合して原子核をつくる機構を研究するものです.核の中では(重力を無視すれば)3つの力が働いていて,強い力はNまたはPを互いに結びつける,電磁相互作用はP相互間の反発力,弱い相互作用は不安定核のβ崩壊を引き起こす力となっています.

さらに120年たった1984年にサラムとワインバーグは電磁力と放射性崩壊を引き起こす弱い核力とが、電弱力と呼ばれるひとつの力の異なる様相であることを示した。

これで自然界に存在する基本的な力は、重力と電弱力と、楊牛を結びつける強い核理科らの3つに統一された

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【2】物質の統一

宇宙には2種類の粒子があり,ひとつはボーズ粒子で,整数スピン(0,±1,±2,・・・)をもち,2つの粒子を交換しても符号は変化しない.その代表は光子である.

もう一つはフェルミ粒子で,半整数スピン(±1/2,±3/2,・・・)をもち,波動関数は四元数的(スピノル)で,粒子の交換により符号が変化する.通常の物質の基本粒子(陽子・中性子・電子)はすべてフェルミ粒子である.

 また,ボーズ粒子には集合する性質があり,それを利用してレーザーに使われる.逆に,フェルミ粒子には離散する性質があるため原子には電子軌道があるというわけである.

物質を構成する素粒子は12であることが示された。素粒子の対称性を表すのに,群論が用いられる.ゲル・マンの研究ではスピン角運動量を決めるSU(3)という8次元の群が使われ,彼はそれを仏教にちなんで,八道説と呼んだ.さらにヒッグス粒子(神の粒子とよばれる)の発見により,質量がないボゾンと質量をもつフェルミオンとのつながり,すなわち「超対称性」がさらに念入りに調べることができるようになったのである.

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【3】ひも理論

これで全宇宙の物質と運動が3つの力と12の素粒子によって説明されることになったのであるが、さらにうまい統一的な説明ができないだろうか?

ひも理論によりと原子より小さい粒子は0次元の点ではなく,1次元のひもである.ひもの振動によってスピンやチャージなどのその粒子の性質が定まる.

 ひも理論の初期は力を伝達する役割を担う格子などの粒子(ボゾン)に焦点があたっていたが,1990年代にはいると,ひもを拡張して電子やクォークなど質量を与える粒子(フェルミオン)とボゾンを結びつける「超ひも」が考えられるようになった.

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