■類数と不変式(その1)

2次方程式f(x)=ax^2+bx+c=0が重根をもつためには,判別式

  D=b^2−4ac=0

が必要十分条件である.

3次方程式の判別式は,ax^3+bx^2+cx+d=0の係数を代入して整理すると,

  D=−4ac^3−27a^2d^2+18abcd+b^2c^2−4b^3d

が得られるが,とても憶える気にならないし,また,憶えられる代物でもないであろう.fの次数が高い場合,その判別式を計算するのは容易ではない.ちなみに,5次方程式の判別式の項数は59にもなるという.

また,fの次数が高い場合の判別式は,重根をもつことは判定できても,実係数2次方程式のように実根,虚根,重根の判別ができるわけではない.たとえば,実係数3次方程式では,

 (H1)異なる3つの実数解をもつ

 (H2)3つの実数解をもつが重根が入っている

 (H3)1つの実数解と1組の共約な虚数解をもつ

のいずれかであるが,D>0ならばH1,D=0ならばH2,D<0ならばH3である.また,3重解をもつための必要十分条件はD=0,b^2−3ac=0である.

 

 4次以上の実係数方程式の場合は

  D=0:重根をもつ

  D>0:偶数組の共約な虚数解をもつ(重根はない)

  D<0:奇数組の共約な虚数解をもつ(重根はない)

であり,D=0は重根をもつための必要十分条件であっても,実根,虚根の判別ができるわけではないのである.

以下に紹介するのは,重根をもつ・もたないの判別ではなく,素数の分解法則と密接に関係している判別式です.

===================================