■調和数の整除性(その7)

【7】ウォルステンホルムの定理の別証明とモジュラー算術

 (p−1)!とpは互いに素であるから

  S=(p−1)!(1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1))

がp^2で割り切れることと

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)=0  (mod p^2)

は同値である.

 mod算術を扱う場合,1/2のような数はある整数と同値である.たとえば,

  1/2=6/2=3  (mod 5)

  1+1/2+1/3+1/4=1+13+17+19=0  (mod 25)

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素数による整除性の問題に帰着させてより解きやすいものにしたい.そこでまず

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)=0  (mod p)

を証明する.

  1+1/2+1/3+1/4=1+3+2+4=0  (mod 5)

であるが,

  4=−1,3=−2  (mod 5)

を使えば,

  1+1/2+1/3+1/4=1−2+2−1=0  (mod 5)

同様に,

  p−1=−1,p−2=−2,・・・  (mod p)

であるから

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)=0  (mod p)

を証明することができる.

 次に,1/1と1/(p−1),1/2と1/(p−2),・・・をペアに組ませると

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)  (mod p^2)

 =1+1/(p−1)+1/2+1/(p−1)+・・・+1/(p−1)/2+1/((p+1)/2)

 =p(1/(p−1)+1/2(p−2)+・・・+1/(p−1)/2+(p+1)/2)  (mod p^2)

 したがって,

 1/(p−1)+1/2(p−2)+・・・+1/(p−1)/2+(p+1)/2=0  (mod p)

  p−1=−1,p−2=−2,・・・  (mod p)

であるから,

 1/1^2+/2^2+1/3^2+・・・+1/(p−1)^2=0  (mod p)

が成り立つことを示せばよい.

 1/1^2+/2^2+1/3^2+・・・+1/(p−1)^2=1^2+2^2+3^2+・・・+(p−1)^2=(p−1)p(2p−1)/6=0  (mod p)

となって証明了.

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