■フィボナッチ数の整除性(その5)

【5】フィボナッチ数の三項関係式・四項関係式

フィボナッチ数の連続する3項には奇妙な関係があります.

  Fn・Fn+2=Fn+1^2−(−1)^n  (カッシーニの等式)

たとえば,5,8,13の場合は5・13=8^2+1で,3つ並んだフィボナッチ数の真ん中の数の平方は前後の2つの数の積より1大きいか小さいかのどちらかになります.

4ピースからなる8×8の正方形を並べ替えると5×13の長方形になり,いつのまにか面積が1だけ増えているというパズルがありますが,このパズルのタネとなっているのかこの関係式です.「不思議の国のアリス」の作者であるルイス・キャロルが創ったとも,パズルの大御所であるサム・ロイドが創ったともいわれているパズルですが,このトリックは一直線をなすように使われた2つの線分の傾き3/8,5/13の相違がわれわれの視力の限界外となる錯覚を利用したもので,もっと先の数,たとえば8/21とかを使えばより巧妙なトリックになります.

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連続する4項にもピタゴラス三角形と関係する奇妙な関係があります.任意の連続する4項を

  a,b,c,d

とすると,

  (a・d)^2+(2b・c)^2=(b^2+c^2)^2

が成り立つ.

[証]

c=a+b→a=c−b

 d=b+c

a,dを消去すると

 (ad)^2=(c^2−b^2)^2であるから

 (c^2−b^2)^2+(2bc)^2=(b^2+c^2)^2

 この関係式はすべてのピタゴラスの三つ組みを生み出すわけではないが,無限個のピタゴラスの三つ組みを生み出してくれる.たとえば,a=1,b=1,c=2,d=3→3^2+4^2=5^2

 2,3,5,8の場合

[1]外側の2数の積:2・8

[2]内側の2数の積の2倍:2・3・5

[3]内側の2数の平方和:3^2+5^2=34

 16^2+30^2=34^2

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