■パスカルの三角形の整除性(その2)

【1】フィボナッチ数の二項係数表現

パスカルの三角形では先頭と最後が常に1となり,その間の数値は前の行の連続した数値を加えていくことに得られるのに対して,フィボナッチ数は前2項の和と等しい.そのため,パスカルの三角形になだらかな斜線を引いて,斜線上に並ぶ数の和をとればフィボナッチ数Fnが順番に現れる.

  1+1=2,1+2=3,1+3+1=5,1+4+3=8,1+5+6+1=13,・・・

すなわち,Fn=Σ(k=0~[n/2])(n−k,k)

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【2】ダビデの星定理

端の1を除いて,パスカルの三角形に含まれる数は6個の数で囲まれている.たとえば,6段目の10の回りには4,6,10,20,15,5が取り囲んでいる.

  4  6

5  10  10

 15  20

6個のうち隣接しない3数の積はもう1組の隣接しない3数の積に等しい.この性質には「ダビデの星定理」という名前がついている.

  4・10・15=6・20・5=600

ダビデの星は2つの正三角形を逆向きに重ねたもので,イスラエルの国旗に採用されている.片方の三角形は5,6,20,もう一方の三角形は4,10,15を指していて,それらの積は等しい.一般に,

  n-1Cr-1・nCr+1・n+1Cr=n-1Cr・n+1Cr+1・nCr-1

が成り立つのである.

したがって,パスカルの三角形で,ひとつの数を取り囲む6つの数の積は平方数になる.

  n-1Cr-1・nCr+1・n+1Cr=n-1Cr・n+1Cr+1・nCr-1=N^2

 たとえば,

3C1を取り囲む6つの数の積は1・2・3・6・4・1=144.

4C1を取り囲む6つの数の積は3・1・1・5・10・6=900.

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