■2つの平方数の和となる素数(その3)

【1】メルセンヌ素数

  a^n−1=(a−1)(a^(n-1)+a^(n-2)+・・・+1)

という形の数は,少なくともa=2でnが素数でない限り素数にはならない.この形の素数をメルセンヌ素数という.qがメルセンヌ数Mp=2^p−1の素因数であるならば,qは2kp+1の形の整数である.

[Q]a^n−1の約数はa−1を割り切るか,または2nk+1という形の奇素数である.

[A]qが奇素数でa^n=1  (modq)であればaは法qに関してベキ数δ=1,nのひとつに属する.

  δ=1→a=1  (modq)

  δ=n→q−1=2nk

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【2】フェルマー素数

  a^n+1=(a+1)(a^(n-1)−a^(n-2)+・・・+1)

が素数になるのもaが素数でnは2の累乗の場合に限られている.すなわち,aが2の場合にこの形の素数候補はフェルマー数:Fn=2^(2^n)+1だけとなる.

[Q]a^n+1の約数はa+1を割り切るか,または2nk+1という形の奇素数である.

[A]qが奇素数でa^n+1=0  (modq)であれば,a^2n=1  (modq).aは法qに関してベキ数δ=1,2,n,2nのひとつに属する.

  δ=1,n→起こり得ない

  δ=2→a^2n=1,a+1=0  (modq)

  δ=2n→q−1=2nk

[Q]2^2^n+1の約数はk2^(n+1)+1という形の奇素数である.

[A]qが奇素数で2^2^n+1=0  (modq)であれば,2^2^(n+1)=1  (modq).2は法qに関してベキ数δ=2^(n+1)に属する.

  δ=2^(n+1)→q−1=k2^(n+1)

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【3】オイラー独自の理論的裏付け

 ここでは,

  p|a^(2^n)+1  (p≠2の素数)

ならば

  2^(n+1)|p−1

となることの証明を与えておきます.

[1]2平方和定理(フェルマー・オイラーの定理)

  (a^2+b^2)(c^2+d^2)=p^2+q^2,p=ac−bd,q=ad+bc

 特別な素数である2を除外して,素数は4で割ると余りが1になるもの(5,13,17,29,37,41,・・・)と3になるもの(3,7,11,19,23,31,・・・)の2種類に分けられます.このうち,4n+1の形の素数は2つの整数の平方の和として表されます.たとえば,5=1^2+2^2,13=2^2+3^2,17=1^2+4^2,29=2^2+5^2,・・・.しかし,4n+3の形の素数は1つもこのようには表せないのです.

 この定理はフェルマーの「直角三角形の基本定理」と呼ばれ,フェルマーは無限降下法でこれを証明しましたが,その証明は不十分で,100年後のオイラーによって完全な証明(一意性も込めた証明)がなされています.

[2]この定理を拡張する方向としては,ひとつには未知数の個数を増すこと,もうひとつには指数を大きくすることです.後者の方向に押し進めていくと

(1)a^2+b^2の奇約数はつねに4n+1の形である

(2)a^4+b^4の奇約数はつねに8n+1の形である

(3)a^8+b^8の奇約数はつねに16n+1の形である

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(4)a^2^(2^m)+b^2^(2^m)の奇約数はつねに2^(m+1)n+1の形である

 フェルマー数はFn=2^(2^n)+1という形の数ですが,a=2,b=1とおくと

(5)フェルマー数2^(2^m)+1の奇約数はつねに2^(m+1)n+1の形である

という言明に到達します.m=5の場合,約数は64n+1という形でしかあり得ないことになります.

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