■解析(その6)

【3】現代の積分法(ストークスの公式)

区分求積法と現在の標準的な積分法を比較してみましょう.サイクロイドは回転角を媒介変数として回転円の半径をaとすると

  x=a(θ−sinθ),y=a(1−cosθ)

と書くことができます.

  dx/dθ=a(1−cosθ)=y,dy/dθ=asinθ

  d^2x/dθ^2=asinθ,d^2y/dθ^2=acosθ

  d^3x/dθ^3=acosθ,d^3y/dθ^3=−asinθ

より,

  dy/dx=sinθ/(1−cosθ)

  d^2y/dx^2=cotθ

  d^3y/dx^3=−tanθ

面積は積分

S=∫xdy=−∫ydx

によって求められますが,サイクロイド類では,ストークスの公式

S=1/2・∫(xdy−ydx)

を使った方が対称性が保たれ,計算しやすいようです.

[1]回転円の半径が1のサイクロイド

  x=θ−sinθ

  y=1−cosθ

の弧とx軸で囲まれる図形の面積は,

  dx=(1−cosθ)dθ

  dy=sinθdθ

  xdy−ydx=(θ−sinθ)sinθdθ−(1−cosθ)^2dθ

=(−2+2θsinθ+2cosθ)dθ

 S=−1/2・∫(0,2π)(xdy−ydx)=3π

 [2]回転円の半径が1のサイクロイド(0≦θ≦2π)の弧長は?

  dx/dθ=(1−cosθ)

  dy/dθ=sinθ

  (dx/dθ)^2+(dy/dθ)^2=2−2cosθ=4sin^2(θ/2)

  L=∫(0,2π)2sin(θ/2)dθ=∫(0,π)4sintdt=8

弧長は回転円に外接する正方形の周に等しいのですが,円周率πが現れないのは不思議な気がします.

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サイクロイドには

 [1]最速降下線

 [2]等時曲線

などいくつかの興味深い特性があります.サイクロイドはそもそもガリレオによって発見され,ホイヘンスによって振子時計の設計に使われ,そしてパスカルの積分法の研究にも貢献しています.

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