■正多面体(その6)

【6】ミンコフスキーの敷石定理と原始的平行多面体

平行多面体による空間充填形はもっと高い次元の立方格子の3次元への射影になっている.平行多面体のうち14面体は切頂8面体だけであるが,切頂八面体には6組の平行な辺があり,6次元立方体と相同と考えることができる.切頂8面体(f=14,d=6)の辺を点に縮めることによって,長菱形12面体(f=12,d=5)→菱形12面体(f=12,d=4),6角柱(f=8,d=4)→立方体(f=6,d=3)ができる.すなわち,6角柱,菱形12面体は4次元立方体,長菱形12面体は5次元立方体,切頂8面体は6次元立方体を3次元空間に投影したものとなっていて,空間充填図形の基本形(primitive)は切頂8面体と考えることができる.同様に2次元充填の基本形は平行6角形である.

2次元充填の基本形は平行6角形,3次元充填の基本形は14面体であることはわかったが,それでは4次元,5次元,・・・,n次元での空間充填多面体の基本形はどうなるのだろう? どのような形になるのかを知る人はたとえいたとしても非常に少ないであろう.そこで(証明抜きで)次元論の敷石定理について解説する.

「n次元の舗石定理」

[1]n次元空間充填では,各頂点の周りに少なくともn+1個の多面体が集まる(ルベーグ).

[2]n+1個のとき,空間充填の基本細胞の面数は最大2(2^n−1)個である(ミンコフスキー).

 すなわち,平行多面体の最多面数は2次元では6角形,3次元では14面体,4次元では30胞体,5次元では62房体となるのである.2次元の平行6角形,3次元の切頂八面体などprimitiveによる空間充填は安定なハニカム構造を形成する.

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