■ケプラー問題(その4)

【3】コンピュータが必要とされる証明

 コンピュータが必要とされる有名な証明の例が4色問題とケプラー予想の証明である.1976年,アッペルとハーケンは4色問題を証明するのにコンピュータを1000時間費やして,2000個の特殊なケースへと還元した.

また,1998年,ヘールズの証明したケプラー予想はヒルベルトの有名な23問題の18番目となる離散幾何学の最も古い問題である.ヘールズの証明は250ページの論文と3ギガバイトのコンピュータプログラムからなるという.

 これらを手作業で1字1句まで確かめるには膨大な時間がかかるため,事実上不可能であって,信用するしかない.とりあえず,信ずる者は救われる,ホレ信じなさいというわけであるが,どうしても天下り式で我慢できない方もいるだろう.4色問題とケプラー予想のコンピュータを使わない証明にはこれまでにないようなまったく新しいアイディアが必要になると思われるが,そうしたアイディアは今日もなお登場していない.いまのところ,4色問題とケプラー予想の証明を検証するには検証用のコンピュータソフトを作るしかないものと思われるが,それとてたいそう時間の要る取り組みとなるだろう.

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