■四色問題(その7)

【3】オイラー標数

 ここではコンパクトな曲面の不変量として,オイラー標数を取り上げます.面上の多角形分割で,面数F,頂点数V,辺数Eとするとき,オイラー標数は

  χ=F+V−E

で定義されます.この基本量の値は曲面を定めれば一定であることは曲面(2次元多様体)のトポロジーの基本定理です.

χ(S)=2,χ(T)=0,χ(K)=0,χ(P)=1

すなわち,

χ=1(射影平面)

  χ=0で向きづけられる曲面(輪環面)

  χ=2(球面)

  χ=0で向きづけられない曲面(クラインの瓶)

となります.また,連結和に対しては

  χ(mT)=2−2m,χ(mP)=2−m

  χ(K#mT)=−2m,χ(P#mT)=1−2m

 2つのコンパクトな曲面が同相となるための必要十分条件は

[1]同じオイラー標数をもつ

かつ

[2]ともに向き付け可能かまたはともに向き付け不可能である

ことです.このことから5Tと7Tは決して同相にはならないし,67Pと45Pも決して同相にはならないことが示されます.

 Kは2Pと同相なので,向き付け不可能なコンパクトな曲面はm(≧0)個の穴をもつトーラスに1個あるいは2個の交差帽をつけたものと見ることができます.ハンドルを取り付けるには開円板を2個,交差帽を取り付けるには取り除く必要がありますから,種数mは途中に現れる穴の個数,最後にできあがる曲面のオイラー標数は2から取り除いた開円板の個数を引いた数に等しいことがわかります.

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