■位相幾何(その7)

1887年,ケルビン卿(ウィリアム・トムソン)は14面体の集合によって空間を満たすことができ,そのときの界面積は菱形十二面体で満たしたときより小さいことを発見しました(ケルビン問題の解).このことから14面体は表面張力を最小とする空間分割構造であると考えることができます.ケルビンの14面体は,3対の合同な四角形の面と4対の合同な6角形の面とで囲まれています.最も簡単な場合は,6個の正方形と8個の正六角形とからなり,すべての辺の長さが等しいものが切頂八面体です.切頂八面体は13種ある準正多面体(アルキメデス体)のひとつです.

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なお,空間分割では,3つの界面が交わって1つの稜線,4つの稜線が集まって1つの頂点が構成されます.その際,

  v+f=e+2

が成り立ちます.そして分割多面体では1個の頂点に3本の辺が集まり,また1本の辺は2個の頂点を結びますから,

  2e=3v

これを用いて整理すれば

  v=2(f−2)

  e=3(f−2)

となります.つまり,面の数fが与えられれば辺数eと頂点数vは一義的に決まる性質をもっており,また頂点数vは必ず偶数になることもわかります.

ここで,f=14とおくと,v=24,e=36となります.つぎに,面が何角形になるかを求めてみると,これはもちろん1通りではありませんが,1本の辺は2個の面によって共有されることを考慮し,各頂点に平均してp角形がq面が会するとすると,pf=2e,qv=2eより,その平均辺数pと平均会合面数qは

  p=2e/f=5.14・・・

  q=2e/v=3

を得ることができます.このことから,14面体の面のかたちについては,必然的に辺数5を中心とする分布をなすことはが示唆されます.

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