■位相幾何(その4)

【4】オイラー・ポアンカレの定理

4次元の凸多胞体では胞の個数をcとすると,オイラー数はv−e+f−cであり,v−e+f−c=0  (シュレーフリの定理)

が成り立ちます.

逆に,2次元の多角形では,オイラー数はv−eであり,

  v−e=0

ですから,n角形は必然的にn辺形になります.私はこれまで「n角形はn辺形である」をまともに取り上げている数学書はみたことがありませんが,n角形はn辺形であるとはいっても,読者はありがたみを実感し「なるほど立派な定理だ」と思うでしょうか? おそらく,何だか当たり前のことを大袈裟にいっていると感じるだけでしょう.なかには,そんなことはサルでも知っているといって怒り出す人もいるかも知れません.

 

 実際,各辺の両端には頂点が1つずつありますから,この定理は自明なのですが,それを3次元に拡張したとたんに自明ではなくなります.  v−e+f=2  (オイラーの多面体定理)

は,もはや,サルでも知っている定理とはいえないでしょう.

これらよりn次元では推して知るべしですが,f以下g,h,i,・・・と続くとすると

  v−e+f−g+h−i+・・・=1±1   (オイラー・ポアンカレの定理)

すなわち,オイラー数はnが奇数のとき2,偶数のとき0になることが理解されます.

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