■射影幾何(その6)

【6】射影幾何と代数幾何

ここで取り上げた定理は代数幾何の観点からいっても色褪せない美しい定理である.最初に発見されたときには直線固有の性質を使って証明されているが,徐々にそのような強い性質は不要であり,本質はもっと他の図形も備えている別の性質にある・・・このように具体的な法則を見つけて,それが一般的な対象についても成り立つというような探求を極限まで進めていくのが代数幾何の思想である.

そのため,パスカルの拡張形定理は楕円曲線:y^2=x^3+ax+b  (4a^3+27b^2≠0)の結合法則をも保証するものであって,その意味では楕円曲線論,代数曲線論,さらにはコンパクト複素多様体における基本定理の原型となる重要な定理となっていて,アーベルの定理やリーマン・ロッホの定理を介して,代数幾何学の重要な定理と深く関わっている.

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