■円周率(その3)

【3】best possible

この方法はもっとも標準的な解法ですが,正八角形の周長だと次のようになります.

  π>8sin22.5°=8{(1−cos45°)/2}^1/2

  π>4{2−√2}^1/2=3.06147

正多角形の周長の代わりに面積を用いて大小比較する場合,単位円に内接する正n角形の面積は

  S1=1/2・nsin(2π/n)

また,外接する場合,

  S2=ntan(π/n)

ですが,正12角形でも足りず,正24角形について検討する必要があります.

 

つまり,アルキメデスのとった正6角形の周長から始める攻略法はbest possibleであったというわけです.アルキメデスは正多角形の辺数を2倍に増やす方法を知っていたので,計算はかなり面倒になりますが,6→12→24→48→96と辛抱強く繰り返し,最終的に正96角形を使って,πの近似値を求めたのです.

  3・10/71<π<3・1/7

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正96角形に引き続いて,円の正多角形近似,すなわち,192,384,768,・・・など弧の2等分を繰り返すことによって辺の数を増してπの値が計算されました.263年に劉徽の書いた注釈書には3072角形を使って3.1416という値を得ています.

 ルドルフは正2^42角形の周を計算して円周率を35桁計算するために一生を費やしました.しかし,円の正多角形近似によって得られるπでは大幅な精度の向上は期待できず,17世紀まで注目すべき進歩はみられませんでした.

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