■無限級数(その6)

【5】ゴールドバッハの公式

ゼータ関数と関連して,ゴールドバッハの公式を取り上げます.

x^y  (x≧2,y≧2)

の形で表される数をベキ乗数と呼びます.

[1]2のベキ乗からなる集合{2,4,8,16,32,64,128,256,・・・}の逆数和は

  1/2+1/4+1/8+1/16+1/32+1/64+・・・→1

[2]3のベキ乗からなる集合 {3,9,27,81,243,729,・・・}の逆数和は

  1/3+1/9+1/27+1/81+1/243+1/729+・・・→1/2

[3]4のベキ乗からなる集合 {4,16,64,256,・・・}の逆数和は

  1/4+1/16+1/64+1/2564+・・・→1/3

[4]5のベキ乗からなる集合の逆数和は→1/4

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ここで,ベキ乗数の和集合

  {an}={1,4,8,9,16,25,27,32,36,・・・}

を考えます.ただし,2^4=4^2のような重複は1回だけ数えることにします.累乗数a^bについて,16=2^4=4^2は特異な関係で,これ以外のどんな数もa^b≠b^aであるからです.

ゴールドバッハの公式とは

  Σ1/(an−1)=1  (n≧2)

すなわち,

  1=1/3+1/7+1/8+1/15+1/24+1/26+1/31+1/35+・・・

(証)

N={2,3,4,5,6,x^y,・・・}

P={x^y: (x≧2,y≧2)}

Q={非ベキ: 2,3,4,5,6,・・・}

Σ1/(P-1)=Σ1/(N-1)-Σ1/(Q-1)

Σ1/(Q-1)=ΣΣ1/Q^k=Σ1/N

したがって,

Σ1/(x^y-1)=Σ1/(N-1)-Σ1/(Q-1)

Σ1/(Q-1)=ΣΣ1/Q^k=Σ1/N

Σ1/(x^y-1)=Σ1/(N-1)-Σ1/(Q-1)=Σ1/(N-1)-Σ1/N

=Σ{1/(N-1)-Σ1/N}=1

 同様に,

  Σ1/(an+1)=π^2/3−5/2  (n≧2)

すなわち,

  π^2/3−5/2=1/5+1/9+1/10+1/17+1/26+1/28+1/33+1/37+・・・

が成り立つことも証明されている.

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[補足]2^x=x^2  (x≠2)が成り立つためには

  x=2^a → 2^a=2a → 2^a-1=a  (a≠1)→ a=2 → 2^4=4^2

以下,p(≧3)が素数の場合だけ考えればよい.

p^x=x^p  (x≠p)が成り立つためには

  x=p^a → p^a=pa → p^a-1=a  (a≠1)→ これを満たすpは存在しない

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