■素数定理(その3)

【3】アダマールとプーサンの素数定理

素数定理は,ガウス以降,多くの数学者たちが証明できなかった難問でしたが,ガウスの予想から約100年後の1896年,フランスの数学者アダマールとプーサンは,同じ年に独立に,リーマンによって複素数まで拡張されたゼータ関数を用いてガウスの素数定理を証明しました.

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【4】複素解析関数

実解析関数の変数を複素数に拡張することにより,未知の世界が開けてきます.

ζ(−1)=1+2+3+4+・・・=−1/12

ζ(−2)=12 +22 +32 +42 +・・・=0

正数の無限級数の総和が負や零になって,一見して目がくらんでしまいますが,これらの式は現代数論では当然のことのように使われています.パラドックスを引き起こした謎は,複素関数論の解析接続にあって,sを複素変数とするとき,ζ(s)をすべての複素数に対して意味をもたせることができ,sを−1とすると値が−1/12,2とすると値が0になるというわけです.もっと,詳しく述べるならば,複素平面上での特異点を避けながら,各経路で級数展開していくと上記の結果が得られます.

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