■素数性判定(その2)

【3】フェルマーの小定理の発見

 フェルマーは

[1]1^3−1,2^3−2,3^3−3,4^3−4,5^3−5,・・・はすべて3で割り切れる

[2]1^5−1,2^5−2,3^5−3,4^5−4,5^5−5,・・・はすべて5で割り切れる

[3]1^7−1,2^7−2,3^7−3,4^7−4,5^7−5,・・・はすべて7で割り切れる

という整除性に気づきました.たとえば,n^7−nが7で割り切れることを示してみます.

(証明)

[1]p=2のとき

  n^2−n=n(n−1)

連続する2つの整数の積は2の倍数なので,n^2−nは2の倍数となり,n^2とnを2で割ったときの余りは等しい.

[2]p=3のとき

  n^3−n=(n+1)n(n−1)

連続する3つの整数の積は3の倍数なので,n^3−nは3の倍数となり,n^3とnを3で割ったときの余りは等しい.

[3]p=5のとき

  n^5−n=n(n^4−1)=n(n^2−1)(n^2+1)

=n(n^2−1)(n^2−4+5)

=(n−2)(n−1)n(n+1)(n+2)+5n(n^2−1)

連続する5つの整数の積は5の倍数なので,n^5−nは5の倍数となり,n^5とnを5で割ったときの余りは等しい.

[4]p=7のとき

  n^7−n=n(n^2−1)(n^4+n^2+1)=n(n^2−1){(n^2−4)(n^2−9)+14n^2−35}

=(n−3)(n−2)(n−1)n(n+1)(n+2)(n+3)+7(n^2−1)(2n^2−5)

連続する7つの整数の積は7の倍数なので,n^7−nは7の倍数となり,n^7とnを7で割ったときの余りは等しい.

 しかし,2^9−2=510は9で割り切れないので,このパターンはベキが9のとき成立しない.

[4]1^11−1,2^11−2,3^11−3,4^11−4,5^11−5,・・・はすべて11で割り切れる

[5]1^13−1,2^13−2,3^13−3,4^13−4,5^13−5,・・・はすべて13で割り切れる

以上のことから,フェルマーはベキが素数のとき,このパターンが成立することを発見しました.すなわち,pが素数のとき

[6]1^p−1,2^p−2,3^p−3,4^p−4,5^p−5,・・・はすべてpで割り切れる

[補題](a+b)^p=a^p+b^p  (modp)

 証明は帰納法による.

   n^p=n   (mod p)

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【4】フェルマーの小定理の証明

補題より,

  (x+1)^p=x^p+1  (mod p)

[1]x=1とおくと,

  2^p=2  (mod p)

[2]x=2とおくと,

  3^p=2^p+1=3  (mod p)

[3]以下,芋づる式に  

  a^p=(a−1)^p+1=a  (mod p)

が成り立つことが示される.

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