■整数の表現(その1)

調和級数(自然数の逆数の和)が発散することはよく知られています.

  1/1+1/2+1/3+1/4+・・・→∞

それどころか,素数の逆数の和だけでさえ発散するのです.

  1/2+1/3+1/5+1/7+1/11+・・・→∞

それに対して,平方数の逆数和

1/12 +1/22 +1/32 +1/42 +・・・=π2 /6

は収束しますから,整数の平方

  0,1,4,9,16,25,・・・

は素数よりもまばらに分布していることがわかります.たとえば,100以下の素数は25個,101から200までの素数は21個ありますが,100以下の平方数は11個,101から200までの平方数は4個しかありません.

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【1】整数の平方和分解

ここでは,整数Nを(0も含め)いくつかの平方数の和の形式で表現することを考えます.まず,簡単な数値実験から始めることにしましょう.1から10までの整数をいくつかの平方数の和の形式で表現するというものです.

 平方数はまばらにしか存在しませんが,2つの平方数の和の形で表される整数はより頻繁に現れます.

  1=1^2+0^2

  2=1^2+1^2

  4=2^2+0^2

  5=2^2+1^2

  8=2^2+2^2

  9=3^2+0^2

 10=3^2+1^2

 

 ここで,3,6,7といった整数は,2つの平方の和では書けないことがわかります.しかし,3つの平方和となると幾分間隙を埋めてくれます.

  3=1^2+1^2+1^2

  6=2^2+1^2+1^2

 

 それでもなお,すべての正の整数を得ることはできません.最後まで残った7に対しては3つの平方数の和で書けず,4つの平方数が必要となります.

  7=2^2+1^2+1^2+1^2

このような数値実験からいくつかのことが予想され,肯定的に証明されています.

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