■コペルニクスの逆定理(その64)

 2n+1個の尖点をもつ星状図形の接線が曲線に挟まれる部分の長さlは,点Pをこの曲線上の任意の点とすると,点Pが尖点上にあるとき接線の長さは最大になること,同じことであるが弧の中間点にあるとき最小になることを説明なしに述べた.

 そして,点Pが弧の中間点にあるときの接線の長さは,nを大きくすれば次第に1に近づくことになり「長さが1である線分を1回転させるのに必要な最小面積」を与える近似図形になる.

 すなわち,この星状領域はデルトイドのように接線の長さが一定という決定的な性質をもつ領域に近づくことになり,星状掛谷集合の下限は

  K2=(5−2√2)π/24(.284258)

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【1】接線と接線の長さ

  中心が(r,d)の半径dの円弧上の点P(x0,y0)における接線の方程式は

  (x−r)^2+(y−d)^2=d^2

を微分して,接線の傾きを

  dy/dx=−(x0−r)/(y0−d)=m

として

  y=m(x−x0)+y0

で与えられる.

 この接線が交わる円弧は,この円弧を

  α=2nθ,2(n+1)θ    θ=π/(2n+1)

だけ回転させたものであるから,

  [xc]=[cosα,−sinα][r]

  [yc] [sinα, cosα][d]

を中心(xc,yc)とする半径dの円弧

  (x−xc)^2+(y−yc)^2=d^2

である.

 これに

  y=m(x−x0)+y0

を代入,2次方程式を解いて,交点P1(x1,y1),P2(x2,y2)を求めることになる.

 接線の長さlは

  l={(x1−x2)^2+(y1−y2)^2}^(1/2)

で与えられるが,たとえば3尖点星状領域(n=1)の場合,点Pを尖点上からこの中間点に向かって動かすときの接線の長さは次第に短くなることが示される.

 なお,半径3/4の円に内接するデルトイドの場合,接線の長さは1で一定である.

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 また,点Pが弧の中間点にあるときの接線の長さは,nを大きくすれば1に次第に近づくことになる.

 このとき,r→(2+√2)/4であるから

  l/r → 2(2−√2)=1.17157

なお,デルトイドの場合,r=4/3,l=1であるから

  l/r=4/3=1.33333

 この星状領域はデルトイドのように接線の長さが一定という決定的な性質をもつ領域に近づくことになり,星状掛谷集合の下限は

  K2=(5−2√2)π/24(.284258)

と予想されるというわけである.

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