■レイリーの定理とビーティー数列(その5)

 レイリーの定理とは「α,βを1/α+1/β=1を満たす無理数,[]をガウス記号とするとき,2つの数列{an}={[nα]},{bn}={[nβ]}は共通項がなく,併せるとすべての整数1,2,3,・・・を与える.」というものです.

 α≦βとすると,仮定からαは区間(1,2)にあることがわかりますが,たとえば,

  α=(1+√5)/2,β=(3+√5)/2=α+1=α^2のとき,an,bnの値は

n  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10・・・

an 1  3 4 6 8 9 11 12 14 16・・・

bn 2 5 7 10 13 15 18 20 23 26・・・

 2つの数列は共通項がなく,併せるとすべての整数1,2,3,・・・を与えるという意味がおわかり頂けると思います.

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 レイリーは数列の任意の連続する2項の間には必ずもう一つの数列の項が入り込むことを発見したのですが,この定理は1962年にビーティーにより再発見されたことにより,2つの数列はビーティー数列と名付けられています.

 数列{an}がビーティー数列ならば,anの値はa1,a2,・・・,an-1の値から1以内の誤差で決定することができます.a1+an-1,a2+an-2,・・・,an-1+a1の和はすべてvまたはv+1になるからです.また,この和がすべてvならばan=v+1でなければなりません.もし,そうでなければビーティー数列ではないということになります.

 たとえば,ビーティー数列1,3,4,6,8,9,・・・において,a1+a1=2よりa2は2または3(実際は3),a1+a2=4よりa3は4または53(実際は4),a1+a3=5,a2+a2=6よりa4は6となります.

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