■p進数体(その11)

【1】p進整数

 p進整数xをpのそれぞれのベキp^nについて、1個ずつ存在する互いに矛盾しない合同式

  x=an (mod p^n)

の形式的な解として定義する。

互いに矛盾しないとは、例えば、

x=1 (mod 3)

x=7 (mod 9)

x=-2 (mod 27)

のように共通の解x=25をもつことを意味する。

このように定義したp進整数同士

  x=an (mod p^n)

  x=bn (mod p^n)

は環をなす。すなわち

  x=an+bn (mod p^n)

  x=an-bn (mod p^n)

  x=anbn (mod p^n)

はp進整数である

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 有理数1/3は2進整数でもあるし、5進整数でもある。これを確かめるにはつぎのような数列{an}を考えればよい

  7,67,667,6667,6667,・・・

この数列の各項に3をかければ

  21,201,2001,20001,200001,・・・

これらはそれぞれ2^1,2^2,2^3,2^4,・・・を法として1に合同である。

また、これらはそれぞれ5^1,5^2,5^3,5^4,・・・を法として1に合同である。

よって,p=2,5に対して

  x=an (mod p^n)ni

で定義されるp進整数は3x=1を満たす。

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 有理数2/3は5進整数でもあるし、10進整数でもある。これを確かめるにはつぎのような数列{an}を考えればよい

  4,34,334,3334,33334,・・・

この数列の各項に3をかければ

  12,102,1002,10002,100002,・・・

これらはそれぞれ5^1,5^2,5^3,5^4,・・・を法として2に合同である。

また、これらはそれぞれ10^1,10^2,10^3,10^4,・・・を法として2に合同である。

よって,p=5,10に対して

  x=an (mod p^n)ni

で定義されるp進整数は3x=2を満たす。

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