■地球を測った男たち(その10)

 地球は完全な球体ではありませんが,地球のだいたいの形について、フランスでは自転のため極方向にふくらんでレモンのような形をしていると考えられていたが、イギリスの科学者たちは赤道のところで膨らんだみかんのような形と考えた。

 1730年代、測量隊が赤道近くと北極点近くでそれぞれ計測し、地球は赤道のところで膨らんでいることが明らかになった。

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 ニュートンは地球の回転の影響から地球の形は自らの遠心力で赤道でいくらか膨らんでいると主張しましたが,カッシーニはニュートンの重力理論には反対の立場をとり,ケプラーの楕円軌道論に反対して凸卵形を提案しました.

 反ニュートン派のカッシーニはパリ付近の子午線1°の測量結果から,地球の自転もエーテルの動きによって引き起こされ,エーテルの外圧によって地球の形が極方向に伸びた紡錘形であると主張しました.デカルトの宇宙渦論が影響していたのです.現在からみるとニュートンの考えは自然に思えますし,当時でもその現象は木星と土星ではっきり観察できたようです.

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 みかんやグレープフルーツのように両極がつぶれているのか,レモンのように赤道部分がつぶれているのか? グレープフルーツだと予想するイギリスとレモンだと予想するフランスの間で,論争が繰り広げられていました.

 そして,1735年,ルイ15世は両説の真偽に決着をつけるため,地球の形状を測定する2つの探検隊がアイスランド(モーペルテュイ隊)とエクアドル(ブーゲー隊)に派遣しました.

 北極での緯度1度と南極での長さを測定して比較しようと試みたのです.アイスランド探検隊の測定はすんなりいきましたが,エクアドル探検隊は波乱と困難の連続になったようです.

 大きな危険を冒しながら,論争はニュートン説に軍配が上がりました.地球は巨大なグレープフルーツだったというわけです.これにより,エーテル(宇宙のゆりかご)は存在しないという新しい世界観を獲得することができたのです.

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