■フィボナッチ数列の三角関数表現(その4)

 初項1,第2項2のフィボナッチ数列

  1,2,3,5,8,13,・・・

の一般項は

  Fn=1/√5[{(1+√5)/2}^n+1−{(1−√5)/2}^n+1]

で表されるが,

  Fn=Π(k=1~[(n+1)/2]){1+4cos^2(kπ/(n+1))}

はその三角関数表現になっているとのことである.

 この式はどうやって求めたものなのか,その方法が思いつかずしばらく考えさせられたがやっと解決することができた.今回のコラムでは二項係数表現を紹介するが,まずはおさらいから.

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【1】x^n+1−1の因数分解

 f(x)=x^n+1−1=0の解を

  αk=cos(2kπ/(n+1))+isin(2kπ/(n+1))

とおく.

 複素数αkの共約複素数をαk~で表すことにすると

  αk+αk~=2cos(2kπ/(n+1)),αkαk~=1

より,

  (x−αk)(x−αk~)=x^2−2pk+1

  pk=cos(2kπ/(n+1))

となる.

 x^n+1−1の因数分解はnの偶奇によって若干様子が異なるが,nが偶数(n=2m)ならば,n+1=2m+1は奇数となって,f(x)=0の解は1,α1,α1~,αm,αm~となるから

  x^n+1−1=(x−1)Π(k=1~m)(x^2−2pk+1)

 nが奇数のとき(n+1=2m)は,±1,α1,α1~,αm-1,αm-1~より

  x^n+1−1=(x−1)(x+1)Π(k=1~m-1)(x^2−2pk+1)

となる.

 以上のことを同次化すると

n=2mのとき,

  a^n+1−b^n+1=(a−b)Π(k=1~m)(a^2−2pkab+b^2)

n=2m−1のとき,

  a^n+1−b^n+1=(a−b)(a+b)Π(k=1~m-1)(a^2−2pkab+b^2)

  pk=cos(2kπ/(n+1))

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【2】フィボナッチ数列の三角関数表現

  φ=(1+√5)/2,−1/φ=(1−√5)/2

とおくと,

  Fn=1/√5[φ^n+1−(−1/φ)^n+1]

となる.

 また,

  t=√5/2,φ=1/2+t=a,−1/φ=1/2−t=b

とおくと,

  a^2−2pkab+b^2

 =(1/2+t)^2−2pk(1/2+t)(1/2−t)+(1/2−t)^2

 =2{(2^-2+t^2)−(2^-2−t^2)pk}

 =2{2^-2(1−pk)+t^2(1+pk)}

 pk=cos(2kπ/(n+1))のとき,半角の公式

  1−pk=2sin^2(kπ/(n+1))

  1+pk=2cos^2(kπ/(n+1))

より

  a^2−2pkab+b^2

 =sin^2(kπ/(n+1))+4t^2cos^2(kπ/(n+1))

 =1+(4t^2−1)cos^2(kπ/(n+1))

 =1+4cos^2(kπ/(n+1))

 nが偶数の場合,

  (a−b)/√5=1,m=n/2

nが奇数の場合,

  (a−b)(a+b)/√5=1,m=(n+1)/2

となって,いずれの場合も

  Fn=Π(k=1~[(n+1)/2]){1+4cos^2(kπ/(n+1))}

で表されるというわけである.

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【3】二項係数表現

 初項1,第2項1から始まるフィボナッチ数列

  1,1,2,3,5,8,・・・

の場合は,

  Fn=1/√5[{(1+√5)/2}^n−{(1−√5)/2}^n]

であるから,x^n−1に対応していて

  Fn=Π(k=1~[n/2]){1+4cos^2(kπ/n)}

となる.

 複素超越表現すれば,

  Fn=i^(n-1)sin(nz)/sinz,

  z=π/2+iln{(1+√5)/2}

 二項係数ととフィボナッチ数の間にもエレガントな関係がある.パスカルの三角形において,水平線上の値を合計すると2のベキが現れるが,対角線上の値を合計するとフィボナッチ数が現れるというものである.

  Fn=Σ(k=0~[n/2])(n−k,k)

[補]二項係数と2のベキの積和には3のベキが現れる.

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