■格子のボロノイ細胞(その65)

 「4n+3の形の数は2個の平方数の和では表されない」

 「8n+7の形の数は3個の平方数の和では表されない」

は正確な表現ではない.

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 2平方和定理は「4で割ると1余る素数ならば,p=x^2+y^2となる自然数が存在する」でしたが,n=2^a3^b5^c・・・p^tが2つの平方数の和で表されるための必要十分条件はすべての4k+3型素数の指数が偶数であることである.

(2は2つの平方数の和である.2=1+1)

奇数の指数をもつ4k+3型素数がひとつでもあれば,nは2つの平方数の和ではない.

 4n+3の形の数は2個の平方数の和で表せませんが,同様にして,

  「4のベキと8n+7の形の数の積は3個の平方数の和では表されない.」

(補)自然数nが2つの平方数の和であるための必要十分条件は

  「nを素因数分解したとき,4k+3の形の素数が偶数乗で現れる」

ことである.

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 3つの平方数の和として書くことができない数としては

  7,15,23,28,・・・

がある.

 一見してパターンを見出すことは難しいが,1798年に,ルジャンドルは,3つの平方数の和でない数は4^k(8n+7)型で表されることを発見した.

[1]n=4kのとき,

  n^2=16k^2→ n=0 (mod8)

[2]n=4k+1のとき,

  n^2=16k^2+8k+1→ n=1 (mod8)

[3]n=4k+2のとき,

  n^2=16k^2+16k+4→ n=4 (mod8)

[4]n=4k+3のとき,

  n^2=16k^2+24k+9→ n=1 (mod8)

 したがって,平方数を8で割ると余りは0,1,4のいずれかになる.→3つの平方数の和を8で割ると余りは0,1,2,3,4,5,6のいずれかになる.→8n+7型の数を表すには平方数が4つ以上必要になる.

 実は,正の整数はすべて4個の平方数の和で表される(ラグランジュの定理,1770年).

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 4^k(8n+7)型ではない自然数だけが,3つの平方数の和として必ず表せる.

 4^k(8n+7)型の整数は,すべての整数のうちの1/6を占める.

  1/(1−1/4)・1/8=1/6

 これらはちょうど4つの平方数の和となり,それ以外は高々3つの平方数の和で表される.高々3つの平方数の和で表される数の割合は5/6である.

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