■分割数の性質(その23)

 また,ラマヌジャンはラマヌジャン数のゼータについて考え,ある予想をたてました.ラマヌジャン数のゼータ,すなわち,

  L(s)=Στ(n)n^(-s)   (タウ・ディリクレ級数)

とおくと(オイラー積のアナローグ)

  L(s)=Π{1-τ(p)p^(-s)+p^(11-2s)}^(-1)

が成り立つことを予想したのです(1916年).

 ラマヌジャン数のゼータは,歴史上最初の2次のゼータといえるのですが,新種のゼータに関するこの予想は,翌年,モーデルによって証明されました(1917年).

 また,τ(p)はpが増加するとき,急激に増加するのですが,1974年,ドリーニュによって,ラマヌジャン予想(ハッセの定理のアナローグ),

  |τ(p)|<2p^(11/2)

が証明されています.ラマヌジャン予想はギリギリの予想であって,たとえばpの指数を11/2=5.5からちょっと小さくして5.499としたとすると,|τ(p)|<2p^5.499とはならない素数pが存在するのです.

 なお,佐藤予想のもとで

  τ(p)=2p^(11/2)cosθp

とおくと,任意に固定された0≦a≦b≦πに対して,偏角θpが[a,b]となる素数密度は

  2/π∫(a,b)sin^2θdθ

で与えられるだろうという予想がたてられています(セール,1968年).

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