■分割数の性質(その12)

【4】ラマヌジャンの関数

 ラマヌジャンは,

  Δ(z)=η(z)^24=qΠ(1-q^n)^24=Στ(n)q^n

zは虚部が正の複素数で,q=exp(2πiz)

      η(z)はデデキントのイータ関数,η(z)=q^(1/24)Π(1-q^n)

を考え,そのフーリエ係数τ(n)を計算しました.

  τ(1)=1,τ(2)=-24,τ(3)=252,τ(4)=-1472,τ(5)=4830,τ(6)=-6048,

  τ(7)=-16744,τ(8)=84480,τ(9)=-113643,τ(10)=-115920,

  τ(11)=534612,τ(12)=-370944,・・・

 無限積をベキ級数に展開した式(フーリエ展開)が登場しましたが,このΔ(z)は,重さ12の保型形式

  Δ(az+b/cz+d)=(cz+d)^12Δ(z)

と呼ばれるものになっていて,オイラーの五角数公式の拡張(24乗版)と考えられます.

 ラマヌジャン数は,オイラーの分割数のアナローグであり,

(1)mとnが素ならば,τ(m)τ(n)=τ(mn)

  τ(2)*τ(3)=-6048=τ(6),τ(2)*τ(5)=-115920=τ(10)

  τ(3)*τ(4)=-370944=τ(12),τ(2)*τ(9)=2727432=τ(18)

  τ(4)*τ(5)=-7109760=τ(20),τ(3)*τ(7)=-4219488=τ(21)

(2)τ(p^(n+1))-τ(p^n)τ(p)=-p^11τ(p^(n-1))   (漸化式)

(3)τ(n)=σ11(nの約数の11乗の総和)  (mod 691)

(4)τ(n)=n^2σ7  (mod 27)

(5)τ(n)=nσ3  (mod 7)

など,驚くような性質をもっています.

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