■多角数と多角数ゼータ関数(その3)

【2】三角数,平方数,立方数,・・・(楕円曲線)

 ここでは,三角数について初等的に証明できる問題をいくつか紹介することにします.

 「3角数であり平方数であるものは無限に存在する.」

(証明)1/2y(y+1)=x^2,すなわち,

  (2y+1)^2−2(2x)^2=1

をみたす自然数の組(x,y)が無限にあることいえばよい.

 自然数an,bnを(1+√2)^n=an+bn√2によって定義すると,

 an^2−2bn^2=(an+bn√2)(an−bn√2)

         =(1+√2)^n(1−√2)^n=(−1)^n

また,(1+√2)^nの展開を考えると,

 an=1+(偶数),bn=n+(偶数)

よって,nを偶数にとるとan^2−2bn^2=1,anは奇数,bnは偶数.

そこで,y=(an−1)/2,x=bn/2とおくと,

  (2y+1)^2−2(2x)^2=1

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 「1以外の3角数は立方数ではない.」

(証明)1/2y(y+1)=x^3は,(2y+1)^2=(2x)^3+1と書き換えられるから,楕円曲線y^2=x^3+1の整数解に関する主張だと解釈できる.

 実は,これには整数点は(2,±3),(0,±1),(−1,0)の5つしかありません.また,この楕円曲線には有理点もやはりこの5つしかないのです.これより,1以外の3角数は立方数ではないことが導かれます.

 一方,y^2=x^3−2は(3,±5)以外の整数点をもちません(y^2=x^3−2の整数解について,古代ギリシアのディオファントスは,y=t+1,x=t−1とおき,y^2=x^3−2に代入するとt^2+2t+1=t^3−3t^2+3t−3.この式はt(t^2+1)=4(t^2+1)と変形できるので,t=4すなわちy=5,x=3が解であるとしています).

 しかし,この曲線には,無数に有理点が得られます.たとえば,(129/100,±383/1000).また,y^2=x^3−4の整数点は(2,±2),(5,±11)の4個のみですが,有理点は(106/9,±1090/27)など無数個存在します.

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 ところで,当該の楕円曲線:y^2=x^3+1の一般形は,バシェの方程式:

  y^2=x^3−a

と呼ばれるもので,一般に,バシェの方程式:y^2=x^3−aには有限個の整数解しかないのですが,たとえば,a=−7に対しては1つも整数解がありません.また,a≠−1,432ならば曲線上には無限個の有理点があることがわかっています.

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