■素数の逆数和(その9)

 有名な素数定理(PT)は,漸近分布の形で

  π(x)〜x/logx

と表すことができます.素数は無限個存在し,そして等差数列{a+kn}にも素数は無限に含まれるのですが,素数pでa+knの形のものの分布問題がディリクレの算術級数定理です.

  π(x;a,n)〜C・x/logx   C=1/φ(n)

 算術級数定理は素数定理を精密化したもので,初項aの取り方にはよらないのですが,ここで,オイラーの関数φ(n)は1からn−1までの整数のうち,nと互いに素になるものの個数

  φ(n)=#(Z/nZ)

として定義されます.たとえば,n=7の場合,1,2,3,4,5,6なのでφ(7)=6,n=10の場合1,3,7,9がそうなのでφ(10)=4となります.

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【1】グリーン・タオの定理

 ここで,素数のみからなる等差数列,

  a,a+d,・・・,a+(n−1)d

「任意に長いn個の素数の等差数列が存在する.」(グリーン・タオの定理:2004年)

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【2】エルデシュ予想

 「自然数列{ai}がΣ1/ai=∞を満たすならば,自然数列{ai}は任意の長さの等差数列を含む.」

 Σ{1/p)→∞なので,エルデシュ予想を証明すれば各項が素数である任意の長さの等差数列が存在することがわかる.この事実は2004年にグリーンとタオによって証明されたというわけである.

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