■素数の逆数和(その5)

 (その4)より

  Σ(1/p^2)<π^2/6−1≒0.6

 それでは下限についてはどのような評価ができるだろうか?

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 その前に,リーマンのゼータ関数

  ζ(s)=Σ1/n^s,s=σ+it

は素数分布論において基本的な役割を果たす関数である.

 ζ(s)は素数pとオイラー積ζ(s)Π(1−p^-s)^-1で結ばれる.これらの無限和,無限積はσ>1で定義されるが,解析接続よって,s=1(σ=1,t=0)を除く全複素平面に拡張される.

 s=1はζ(s)のただひとつの極であり,(s−1)ζ(s),ζ(s)−1/(s−1)は整関数となる.

 素数分布論において重要なのは0≦σ≦1における零点であって,素数定理はσ=1上に零点のないこと,ζ(σ+is)≠0と同等である.

 リーマンは0≦σ≦1におけるすべての零点がσ=1/2にあると予想した.これがいわゆるリーマン予想であるが,今日でも未解決の難問である.

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 今日,数学における未証明問題として謎に包まれているリーマン予想とは,ゼータ関数の0点はすべて虚軸に平行で右側の直線上に存在するというものですが,この仮説が正しければ素数分布に関する重要な結論が導き出せるといわれています.

 たとえば,リーマン予想:ζ(s)の零点がs=−2,−4,・・・,−2nとs=1/2+tiの線上にある:が正しいと仮定するとアルティン予想の成り立つことが証明できることがわかっています.

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