■おかあさんのための数学教室(その106)

【6】素数定理とエラトステネスのふるい

 さて,π(x)をx以下の素数の個数とすると

  π(x)〜x/logx   (x→∞)

は1896年,フランスの数学者アダマールとプーサンによって証明され,素数定理として知られています.

 素数定理をエラトステネスのふるいという初等的な方法を用いて,ラフなスケッチ程度に誘導してみましょう.xまでのすべての整数うちで,奇数,すなわち2で割れない数は大体半分(1−1/2)あります.奇数のうちで,3で割り切れない数は2/3=1−1/3あります.さらに,残っている数のうち,5で割り切れない数は1−1/5あります.したがって,xを越えない素数の個数はこれらの積をすべての素数pにわたってとればよいことになり,近似的に

  Π(1−1/p)・x

に等しくなります.さらに,Π(1−1/p)は近似的に1/logxに等しくなります(その105参照).ただし,これをきちんとした形で証明するのは微積分を使っても容易ではありません.専門的で,ここで説明することはできそうにありませんから,天下り式に結果だけを示しておきます.このことを認めれば,素数定理π(x)〜x/logxが導出されたことになります.

===================================