■おかあさんのための数学教室(その99)

 調和級数Hn=Σ(1/n)は非常にゆっくりとですが大きくなり,ついには無限大に発散すること,すなわち,

  1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n〜logn→∞

は容易に示すことができました.

 ここで,n番目の調和数を

  Hn=1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n

と定義すると,H1=1,H2=3/2,H3=11/6,・・・,H∞=∞となります.それでは,・・・

[Q]n>1ならば,Hn は整数にはならないことを示せ.

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 たとえば,分母が2のべき乗になっている項のうちで,その指数が最大のものを考えると,それと組になる項がどこにもありません.このことから,Hnは分子が奇数で,分母が偶数の分数になるのですが,このことをきちんとした形で書いてみましょう.

(証)2^k≦nとなる最大の指数をk,Pをn以下のすべての奇数の積とすると,

  2^(k-1)PHn

 =2^(k-1)P(1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n)

は,2^(k-1)P/2^k以外の項はすべて整数となる.

 なお,これと類似の問題としては,

  a) 1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n

は決して整数にはならない   (タイシンガー,1915年)

  b) 1/(a+1)+1/(a+2)+・・・+1/(a+n)

は決して整数にはならない   (クルシュチャク,1918年)

  c) 1/(a+d)+1/(a+2d)+・・・+1/(a+nd)

は決して整数にはならない   (エルデシュ,1932年)

などがあげられます.

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