■シチャーマンのサイコロ(その14)

 通常のサイコロ2つを振ったときでる目の合計は,

   1  2  3  4  5  6

1  2  3  4  5  6  7

2  3  4  5  6  7  8

3  4  5  6  7  8  9

4  5  6  7  8  9  10

5  6  7  8  9  10  11

6  7  8  9  10  11  12

となって,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12はそれぞれ1,2,3,4,5,6,5,4,3,2,1回現れる.

 {1,2,2,3,3,4}と{1,3,4,5,6,8}の目をもつサイコロ(シチャーマンの変わりサイコロ)の場合,目の合計は

   1  2  2  3  3  4

1  2  3  3  4  4  5

3  4  5  5  6  6  7

4  5  6  6  7  7  8

5  6  7  7  8  8  9

6  7  8  8  9  9  10

8  9  10  10  11  11  12

となって,この場合も2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12はそれぞれ1,2,3,4,5,6,5,4,3,2,1回現れる.

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 通常のサイコロの母関数は

  P(x)=x+x^2+x^3+x^4+x^5+x^6

      =x(x+1)(x^2+x+1)(x^2−x+1)

であり,2つを振ったときでる目の合計の母関数は

  {P(x)}^2=x^2(x+1)^2(x^2+x+1)^2(x^2−x+1)^2

=x^2+2x^3+3x^4+4x^5+5x^6+6x^7+5x^8+4x^9+3x^10+2x^11+x^12

になる.

 したがって,たとえば,

  Q(x)=x^2(x+1)^2(x^2+x+1)

=x^2+x^3+x^5+x^6

  R(x)=(x^2+x+1)(x^2−x+1)^2

=x^0+x^1+2x^2+x^3+2x^4+x^5+x^6

ならば,

  {P(x)}^2=Q(x)R(x)

となる.

 しかし,これでは,四面体サイコロ{2,3,5,6}と九面体サイコロ{0,1,2,2,3,4,4,5,6}であって,条件に適さない.

  Q(x)=x(x+1)(x^2+x+1)

=x+2x^2+2x^3+x^4

  R(x)=x(x+1)(x^2+x+1)(x^2−x+1)^2

=x^1+x^3+x^4+x^5+x^6+x^8

の場合だけ,六面体サイコロ{1,2,2,3,3,4}と六面体サイコロ{1,3,4,5,6,8}になるのである.

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