■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その95,杉岡幹生)

  <ゼータの分身とエルミート行列>

 ゼータの分身たちに関し、異分野との接触が見えたので速報としてお伝えします。

 L(1)やζ(2)の分身たちの特殊値は、実対称行列(エルミート行列の一種)の固有値に本質的に一致することがわかってきました。すなわち、次のようになっている。

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「ゼータ分身の特殊値を解にもつ代数方程式」=「実対称行列(エルミート行列)の固有方程式」となっていて、その固有方程式の固有値は分身たちの特殊値に本質的に一致する。

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■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その52) http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/koramu2/12808_x7.htm -----@

■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その86)http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/koramu2/13390_y9.htm -----A

 なぜこんなことがいえるかというと、次の通りです。@やAのサイトでL(1)やζ(2)の分身の値を解にもつ方程式を考察しました。Aでは「上記の代数方程式は解(根)は全て実根であり、その解はζ(2)の分身の値となる。 」と”全て実根”を強調して書きました。何かを感じていました。

 群論の本で次の定理を見ました。

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[定理]

 エルミート行列の固有値は実数で、縮重がなければ、その固有ベクトルは互いに直交する。

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 これを見て、L(1)やζ(2)の分身の値を解にもつ代数方程式は、エルミート行列の固有方程式(その解は全て実根!)になっているに違いないと思い、すこし計算し、それが確信できたという次第です。

 まだ三例しか計算していませんが、この方向は正しいと確信します。現在、計算できているのは、L(1)2分割、ζ(2)2分割、L(1)3分割の場合です。

 例えば、L(1)3分割の3分身の特殊値は@サイトの方程式の中の次のB式の三つの実数解(実根)と本質的に一致しますが、このB式はある3次実対称行列(エルミート行列)の固有方程式になっています。その3次実対称行列の3個の固有値が、 L(1)3分身の値三つと”本質的に”一致する。(下記「L(1)3分割」 参照)

  x^3 -3x^2 -3x +1=0---B

 ”本質的に”としたのは、下記L(1)3分割 の”π/12”の部分を除いたtan(**)の部分、つまり、tan(5π/12) ,-tan(3π/12),tan(π/12)がBの解だからです。”(π/12)tan(**)”のπ/12までも含めた値を解にもつ方程式も、@サイトで同時に求めているので見てください。しかしそれらはどちらでも本質的に同じであり、よってL(1)分身の値の考察には簡単化した方のBで十分です。

 さて、Bはどんな実対称行列の固有方程式になっているのか? 非常に興味あるところと思いますが、それはこのテキストでは書きにくいので、次回Wordからpdfにして投稿したいと思います。

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■L(1)3分割

A1= 1 -1/11 +1/13 -1/23 +1/25 -1/35 +・・ =(π/12)tan(5π/12)

A2=1/3 -1/9 +1/15 -1/21 +1/27 -1/33 +・・=(π/12)tan(3π/12)

A3=1/5 -1/7 +1/17 -1/19 +1/29 -1/31 +・・=(π/12)tan(π/12)

   A1 -A2 +A3=π/4=L(1) です!

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 ゼータ分身を計算していると、その構造に潜む凄い対称性を感じます。群や行列に関係することは間違いないと思っていたので、今回の方向は自然で大事であり、この領域は一挙に拡大したと思います。洞窟がひろがった感じで、とてもうれしいです。 異分野との接触は島と島に橋が架かることであり、豊かな実りをもたらします。

以上。(杉岡幹生)

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