■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その90,杉岡幹生)

 ここではL(1)3分割の分身が6分割の分身に分解する場合等を調べます。

  L(1)=1/1 -1/3 +1/5 -1/7 +1/9 -1/11 +1/13 -1/15 +1/17 - ・・=π/4

L(1)が分解する全体の様子は次のようになります。1個の分身が倍の2個に割れていきます(分解する)。今回はその中の『L(1)⇒L(1)3分割の分身』と『L(1)3分割の分身⇒L(1)6分割の分身』の様子を見ます。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※     <L(1)分解の全体の様子>

 L(1)⇒L(1)2分割の分身⇒L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身⇒L(1)16分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)3分割の分身⇒L(1)6分割の分身⇒L(1)12分割の分身⇒L(1)24分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)5分割の分身⇒L(1)10分割の分身⇒L(1)20分割の分身⇒L(1)40分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)7分割の分身⇒L(1)14分割の分身⇒L(1)28分割の分身⇒L(1)56分割の分身⇒・・・

 このように、一つの分身が2つに(倍に)分解する。素数を起点として倍々ゲームで無限に分解(分岐)していく。逆に無限の彼方から見れば、(先頭行を例にとると)・・・・⇒16分身⇒8分身⇒4分身⇒2分身⇒L(1)などとなっている。

 厳密には予想ですが、こんなふうになっている。

(注記)

 L(1)⇒L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身⇒L(1)16分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)6分割の分身⇒L(1)12分割の分身⇒L(1)24分割の分身⇒・・・なども当然成り立ちますが、略しました。

理由は、前者は上の全体の様子での1行目に含まれており、後者は2行目に含まれていて、表示する必要がないからです(冗長になるので略)。素数のケースだけ書けば十分です。

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 それでは、1分割分身が3分割分身に、3分割分身が6分割分身に分解する様子を見ることにします。3分割は(その28)、6分割は(その21)の結果を利用します。

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   <3分割は(その28)、6分割は(その21)から抜粋>

■L(1)1分割

  L(1)=1/1 -1/3 +1/5 -1/7 +1/9 -1/11 +1/13 -1/15 +1/17 - ・・=π/4

■L(1)3分割

A1= 1 -1/11 +1/13 -1/23 +1/25 -1/35 +・・ =(π/12)tan(5π/12)

A2=1/3 -1/9 +1/15 -1/21 +1/27 -1/33 +・・=(π/12)tan(3π/12)

A3=1/5 -1/7 +1/17 -1/19 +1/29 -1/31 +・・=(π/12)tan(π/12)

   A1 -A2 +A3=π/4=L(1) となります。

■L(1)6分割

 B1= 1 -1/23 +1/25 -1/47 +1/49 -1/71 +・・ =(π/24)tan(11π/24)

 B2=1/3 -1/21 +1/27 -1/45 +1/51 -1/69 +・・=(π/24)tan(9π/24)

 B3=1/5 -1/19 +1/29 -1/43 +1/53 -1/67 +・・=(π/24)tan(7π/24)

 B4=1/7 -1/17 +1/31 -1/41 +1/55 -1/65 +・・ =(π/24)tan(5π/24)

 B5=1/9 -1/15 +1/33 -1/39 +1/57 -1/63 +・・ =(π/24)tan(3π/24)

 B6=1/11 -1/13 +1/35 -1/37 +1/59 -1/61 +・・ =(π/24)tan(π/24)

   B1 -B2 +B3 -B4 +B5 -B6=π/4=L(1)となります。

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上記結果から、L(1)=A1 -A2 +A3 であり『L(1)⇒L(1)3分割の分身』がまずわかります。これは(その28)で見たL(1)3分割そのものであり当然の結果です。

 次に、3分割の分身は次のようにそれぞれ2個に分裂(分解)して6分割の分身になります。

  A1=B1 -B6  -----@

  A2=B2 -B5  -----A

  A3=B3 -B4  -----B

  このように一つの分身が二つに割れるのです。逆から見れば、二つの分身が合わさって上のクラスの一個の分身になったともいえる。

 その割れ方は(その79)で見たζ(2)「3分割の分身⇒6分割の分身」の割れ方と同じです(違いは、右辺で足すか引くかの違いだけです)。(その79)のζ(2)「3分割分身⇒6分割分身」と比較すると、その類似性に驚きます。

 @〜Bに関し、級数での成立は簡単にわかります(眺めるだけでわかる)。また右辺値(特殊値)での成立も、次のようにすれば容易に確かめられる。

 三角関数において次式が成り立つ。

  tan(π/2 -2x)=(1/2){tan(π/2 -x)- tan(x)}

  xにπ/24, 3π/24, 5π/24を代入することで、@〜Bの特殊値での成立を確かめることができます。

 以上より、L(1)分身の分岐構造全体のうち『L(1)⇒L(1)3分割の分身』と『L(1)3分割の分身⇒L(1)6分割の分身』の成立が確認できました。

以上。(杉岡幹生)

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