■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その65,杉岡幹生)

 今回は「付録2」に「ゼータ分割の条件」を示しました。

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<付録1>

  Z(2)=1 +1/3^2 +1/5^2 +1/7^2 +1/9^2 +1/11^2 +・・=(3/4)ζ(2)=π^2/8

 上式の通り、Z(s)は本質的にリーマンゼータζ(s)と同じです。Z(2)12分割はまだ投稿していませんでしたが、以下の通りです。

■Z(2)12分割

 A1 = 1 +1/47^2 +1/49^2 +1/95^2 +1/97^2 +1/143^2 + ・・  =(π/48)^2/{cos(23π/48)}^2

 A2 =1/3^2 +1/45^2 +1/51^2 +1/93^2 +1/99^2 +1/141^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(21π/48)}^2

 A3 =1/5^2 +1/43^2 +1/53^2 +1/91^2 +1/101^2 +1/139^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(19π/48)}^2

 A4 =1/7^2 +1/41^2 +1/55^2 +1/89^2 +1/103^2 +1/137^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(17π/48)}^2

 A5 =1/9^2 +1/39^2 +1/57^2 +1/87^2 +1/105^2 +1/135^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(15π/48)}^2

 A6 =1/11^2 +1/37^2 +1/59^2 +1/85^2 +1/107^2 +1/133^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(13π/48)}^2

 A7 =1/13^2 +1/35^2 +1/61^2 +1/83^2 +1/109^2 +1/131^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(11π/48)}^2

 A8 =1/15^2 +1/33^2 +1/63^2 +1/81^2 +1/111^2 +1/129^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(9π/48)}^2

 A9 =1/17^2 +1/31^2 +1/65^2 +1/79^2 +1/113^2 +1/127^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(7π/48)}^2

 A10 =1/19^2 +1/29^2 +1/67^2 +1/77^2 +1/115^2 +1/125^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(5π/48)}^2

 A11 =1/21^2 +1/27^2 +1/69^2 +1/75^2 +1/117^2 +1/123^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(3π/48)}^2

 A12 =1/23^2 +1/25^2 +1/71^2 +1/73^2 +1/119^2 +1/121^2 + ・・=(π/48)^2/{cos(π/48)}^2

  A1 +A2 +A3 +A4 +A5 +A6 +A7 +A8 +A9 +A10 +A11 +A12=Z(2)=π^2/8となります。ζ(2)の12分割された分身たちの姿はこのようになっています。美しい秩序です!

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<付録2>

 以前、数学仲間のSugimoto氏から「ゼータが分割出来たと判定する条件は何か?」と問われたことがありました。何も条件を付けなければ、任意の分割が可能なので条件があるはずとの疑問から問われたものです。

 ”分割の条件”は、これまで明確に示さないままきたので、ここで定義の形で分割の条件を、氏への返答を修正した形で示しておきます。参考にしてください。

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 [ゼータ分割の条件] 

 ゼータの分割に関して、左辺の級数だけを見ていたら、当然、任意の自由な分割が可能です。

 大事なことは、各パーツ(分身たち)の特殊値が明瞭に求まることです。----@

 そして全てのパーツを足し算、引き算することで、もとのゼータを構成できることも条件です。----A

 さらに偽の分割を除く意味で(真の分割でないものを除く意味で)、「各パーツが別のパーツ(あるいは1分割ゼータ)の”有理数倍”で構成され得ない」ことも条件です。---B

 このBに関しては、私が注意喚起してきたように、1/1^2+1/3^2+1/5^2+・・などは、(1-1/2^2)ζ(2)ですから「ζ(2)の真の分割ではない」となります。

 @、A、Bがゼータ分割の条件です。これで十分と考えます。

一つ例を見てみると、L(1)の4分割は、次のようになります。

http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/koramu2/11993_u2.htm

 A1=1 -1/15 +1/17 -1/31 +1/33 -1/47 +1/49 -1/63 + ・・ =(π/16)tan(7π/16)

 A2=1/3 -1/13 +1/19 -1/29 +1/35 -1/45 +1/51 -1/61 +・・ =(π/16)tan(5π/16)

 A3=1/5 -1/11 +1/21 -1/27 +1/37 -1/43 +1/53 -1/59 +・・ =(π/16)tan(3π/16)

 A4=1/7 -1/9 +1/23 -1/25 +1/39 -1/41 +1/55 -1/57 + ・・ =(π/16)tan(π/16)

 これらはL(1)の”真の分割”となっています。A1 -A2 +A3 -A4 =L(1)=π/4 となっています。右辺のtan()の値は次の通りです。

  tan(7π/16)= 1 +√2 +√(4+2√2)

  tan(5π/16)=-1 +√2 +√(4-2√2)

  tan(3π/16)= 1 -√2 +√(4-2√2)

  tan(π/16) =-1 -√2 +√(4+2√2)

 L(s)やζ(s)が1億分割でも1兆分割でも”美しい規則に従って”分割される(無限に任意に分割できる)ことは、驚きでした。

 単発的なL(1)=π/4の裏側にこのような構造が潜んでいたことは驚異的なことと思いますが、いかがでしょうか。 

 そして、私はこのような分割の仕方は一意に決まるだろうと予想しています。

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