■オイラーの素数生成公式とラビノヴィッチの定理(その4)

 2次方程式

  x^2+x+41=0

の解は

  x=1/2(−1±√−163)

であり,虚2次体Q(√−163)の理論と深く関係しているのですが,この不思議な性質も類数1に関するラビノヴィッチの定理から説明されます.

 同様に,1変数の2次多項式

  n^2+n+17

も高い確率で素数を生成しますが,d=−67=1(mod4)の場合を考えると,q=17ですから,虚2次体Q(√−67)と関係しているというわけです.

  n^2+n+41(0≦n≦39なるすべてのnについて素数となる)

   ←→ Q(√−163)

でしたが,以下同様に

  n^2+n+17(0≦n≦15) ←→ Q(√−67)

  n^2+n+11(0≦n≦9)  ←→ Q(√−43)

  n^2+n+5(0≦n≦3)   ←→ Q(√−19)

  n^2+n+3(0≦n≦1)   ←→ Q(√−11)

  n^2+n+2(0≦n≦0)   ←→ Q(√−7)

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 もうひとつの注目すべき事実は

  x=exp(π√d)

が数値的にとても整数に近くなりうるというものです.

  exp(π√43)=884736743.999777・・・

  exp(π√67)=147197952743.99999866・・・

  exp(π√163)=262537412640768743.99999999999925007・・・

 これは決して偶然の一致ではありません.xに対しては

  x−744+196884/x−21493760/x^2+・・・

がぴったり整数になることがわかっています.これらの係数は重さ0のモジュラー関数においてq→−1/xとしたものです.

 xが大きいほど後半の項は小さな値となるので,x自身は極めて整数(実は立方数)に近い数になるというわけです.

  exp(π√43)=960^3+744−ε

  exp(π√67)=5280^3+744−ε

  exp(π√163)=640320^3+744−ε

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