■双子素数予想の解決?(その22)

【1】双子素数

 その差が2であるような素数のペア(p,p+2)を双子素数と呼びます.小さな双子素数には(3,5),(5,7),(11,13),(17,19),・・・など,ちょっと大きなものでは(22271,22273),・・・などがあります.

 双子素数が無限に多く存在するかどうかは今のところわかっていません.双子素数の場合に難しいのは素数全体のときと異なって,双子素数の逆数の和

<P />1/3+1/5+1/5+1/7+1/11+1/13+1/17+1/19+・・・+1/p+1/(p+2)+・・・

が無限大とはならずに,その和が1.90195・・・(ブルンの定数:1919年)となることが証明されている点です.もしこの和が発散すれば双子素数が無数に存在するという証明が得られるのであるが,残念ながら和は発散しない.

 このことは,双子素数は有限個しか存在しないか,無限にあるとしても,まれにしか存在しないことを示しています.そのため,双子素数が無限に存在することの有力な証拠は見つかっているにもかかわらず,完全な証明には至っていないのです.

 双子素数の分布に関しては,ハーディとリトルウッドによって,

  πtwin(x)〜Cx/(logx)2

ただし,pを3以上の素数として

  C=2Π(1−1/(p−1)2)=1.3203・・・

と予想されています.この法則は経験的には正しそうであり,双子素数はたぶん無限組あると信じられています.

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【2】概素数

 双子素数予想は難しすぎるとみて,双子素数について問うのを止め,問題を変形させることは有効である.

 現在のところ,双子素数予想にもっとも接近した結果は,1966年,陳景潤によるもので,陳景潤は素数と概素数(素因数を2つしかもたない合成数)のペアは無限に存在することを証明しました.これは無限に多くの双子素数が存在することに大変接近した結果(少し弱い形)であって,双子素数予想の証明に向かって最初の大きな一歩と考えられます.もう一歩進んで「概」を取り去ることに成功した者が,素数理論の大快挙を成し遂げたことになるのです.

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